成年後見業務をやめたくなった方へ
こんにちは、司法書士の山崎秀です。近年、最高裁判所からなるべく親族を成年後見人に選任するよう方向性が示されています。そして、大阪では総合支援型監督人制度という運用も始まりました。親族後見人が独り立ちできるまで、短期で監督人が支援する制度です。たまに、親族が成年後見人になることができないといった記事を散見しますが、少なくとも家庭裁判所においてはそのような運用は改善しようとしています。
専門職が成年後見人になるケースは多いのですが、これはそもそも親族後見人の候補者すらいない状況を反映しています。
親族後見人が増えること自体は、本人をよく知る方が成年後見人になることとしてよいことだと思います。しかし、成年後見人となった親族の方が直面する困難もありました。
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成年後見人の事務作業が負担
成年後見人は原則、本人の判断能力が回復するか、死亡するまで続きます。そして、各種手続きや裁判所への報告書の作成など事務作業がとても多いことも特徴です。ご高齢の方にとっては、かなりの負担となります。
そして、事務作業が得意な世代は現役で仕事をされたりしています。こうした、事務作業の時間を捻出することが難しかったりもするでしょう。
成年後見人の立場は思ったより責任が重いものであった
成年後見人は本人の財産管理について善管注意義務を負います。本人と成年後見人の財産を分別管理する必要もあり、事務負担が増えてしまうこともあります。そして、法的、経済的なトラブルがあった場合は、それと向き合うことになってしまいます。成年後見の専門職も時につらい時がある業務ですから、その責任が嫌になってしまうこともあるでしょう。
成年後見業務は大変なものです
当事務所も成年後見業務を多数行っておりますが、日々悩みは尽きませんし大変なものであることは身をもって知っております。また、監督人として親族後見人の方を見守ることもあり、その大変さは伝わってきております。
家庭裁判所は方針を決めてくれることはありません
成年後見人の監督は家庭裁判所が行いますが、立場上成年後見人に指示をしてくれることはあまりありません。あくまで、成年後見人には裁量があり、成年後見人の責任において判断してほしいというのが家庭裁判所の立場です。そのため、しばしば判断に迷われる成年後見人の方をおみかけします。
成年後見人の辞任は正当な理由が必要です
成年後見人の方が高齢であったり、遠方に引っ越しするなどの理由があると辞任が認められることもあるでしょうが、判断は家庭裁判所によるもので絶対はありません。
ただ、負荷を減らすという意味では、司法書士へ報告書作成を依頼することや、成年後見人として二人目を選任してもらうといった方法も検討できます。
相談先に困ってしまった方は、一度当事務所に相談することも検討してみてくださいね。
こういった依頼の費用は、原則成年後見人の方がご負担する必要があるとは思われます。しかし、報酬付与の申立てにより本人から成年後見人の方が得た報酬で精算することも検討できるかもしれません。