なぜ司法書士は遺言をおすすめするのか

遺言のすすめ

 どうして、私たち司法書士は遺言をおすすめするのでしょうか?今日はその理由をまとめてみたいと思います。

遺言は相続人の状況に左右されにくい

 遺言があると、遺産分割協議をする必要がありません。相続人が認知症や未成年であることにより遺産分割協議書ができないといった状況でも手続きをすすめることが可能になります。遺言を作成するときは、周りの推定される相続人の皆さんも元気でこのようなメリットを考えない人も多いです。でも、遺言を作成した後で数年たつと、意外と状況は変化してしまうものです。遺言があったから、何とかなったというケースもあるのではないでしょうか。

相続人間で紛争となるリスクが低い

 上記と重複しますが遺言があれば、遺産分割協議をする必要がありません。となれば、紛争のきっかけとなる協議がないのですから紛争が生じません。とはいえ、遺留分という制度があります。この点においては、主張されることもあるでしょう。
 それでも、現行の民法では遺留分侵害額請求となり金銭での解決が容易になりました。不動産が共有になってしまうなど、不測の事態は生じにくくなったといえます。それに、遺言でメッセージを残された方が亡くなった方の意思もつかみやすいものです。心理的なものとはいえ、紛争予防に一定の効果があるはずです。この点でも、より遺言をおすすめしやすくなったところです。

相続人不存在の場合は必須といっていい

 これまで、相続人がいる状況でのメリットを述べました。相続人がいない場合は、遺言を残すことはもはや必須といってよいでしょう。現在、大阪家庭裁判所で相続人がいない場合の相続財産管理人をつけようと思うと、100万円程度の予納金が必要です。これに加えて戸籍収集や申立の手続き費用として何十万円かが必要になるでしょう。遺言があれば回避できると思えば、ぜったいに作成した方がよいといえる場面です。

身近な人に葬儀を頼もうと思っているとき

 このときは注意は必要ですが、遺言での遺贈と死後事務委任契約をしてあげてください。とくに、書面で死後事務委任契約をしてあげると、後日万一の相続人からのクレームの際、葬儀を頼んだ相手が身を守る証拠になります。そして、葬儀費用は死後事務委任契約で定めたとおり支出してよいと遺言に付言事項で書いておくと、より説得力が増すでしょう。そのまま、残りを渡したいのであれば遺贈する遺言を書いておきましょう。

まとめ

 ここまでメリットをみてきましたが、遺言を残すことでのデメリットはあまり考えられません。ただし、遺言が有効なものであることが前提となります。推定相続人を正しく把握し、適法に作成しましょう。この点は、つぎに述べるように専門家を頼むことが非常に有用です。

遺言作成は専門家へ支援を依頼してください

 まず、当たり前の話ではありますが有効に遺言は作成しなければなりません。そして、曖昧さがあっては手続きできなくなります。この手続きというところが重要です。結局、遺言は金融機関や法務局など各提出先において適切に受け付けしてもらえないと意味がありません。そのため、手続きになれた専門家へ作成も依頼するとよいでしょう。
 遺言は、いざ有効になったときには自分は死亡しています。そのため、何らかの職責により手続きが行われることを担保してもらうことが重要です。司法書士や弁護士、税理士などは資格による職責を負っています。この点、確実な手続きを期待するための担保となるのではないでしょうか。