任意後見はいつ始まるのかご存知ですか?

 こんにちは、司法書士の山崎秀です。みなさんは、任意後見がいつ開始するのかご存知ですか?意外と誤解の多いところですので、述べていきたいと思います。まずは、任意後見制度の概要についてみてみましょう。

任意後見制度とはこんな制度です

 任意後見は将来判断能力を失ったときにあらかじめだれを任意後見人にするのか決めておく制度です。必ず公正証書により作成します。そして、任意後見人の報酬や業務内容など細かく定めておく必要があります。任意後見に対して、判断能力を失ってから本人に代理人を選任する成年後見制度は法定後見と呼ばれます。家庭裁判所は必ずしも申立人の推薦する候補者を選ぶとは限らないという特徴が大きな違いです。

任意後見はいつ開始するのか?

 任意後見は必ず公正証書により作成する必要があると述べましたが、作成した時点で開始するのでしょうか。いいえ、この時点では開始しないのです。まだ判断能力が十分におありで元気な状態で作成するわけですから。
 判断能力が低下したときに任意後見人になる予定の方が家庭裁判所に任意後見監督人を選任する申立てを行います。これにより、はじめて任意後見人の業務はスタートするわけです。私がこれまで受けてきた相談の多くも、任意後見の開始する前に任意の代理人として活動していることと任意後見人の業務を混乱して受け止めている方を多数拝見しました。

任意後見の現状

 平成27年からは毎年1万件を超える件数の任意後見契約が締結されています。しかし、全国の家庭裁判所における令和2年中の任意後見監督人の選任申し立ては738件しかありません。まだ判断能力のあるうちに締結する契約と、判断能力が低下したときの任意後見監督人の選任申し立ては同時期とはならないことが多いため、単純な比較はできません。それでも、せっかく契約していても10%に満たない人しか実際の任意後見制度の利用にはつながっていないのであろうという把握ができます。実は、この割合は大きな問題を示唆してもいるのです。

任意後見契約していても、監督人を選任しない?

 多くの任意後見契約では、同時に判断能力のある内から任意に財産管理などをお願いすることも多いです。そうなると、判断能力が低下してもわざわざ任意後見監督人を選任せずに、任意の財産管理などを継続するケースがあると思われます。判断能力が低下している本人には代理人を適切に監督することを期待できませんから、横領などが発生するリスクも大きく大いに問題があります。

任意後見制度を利用する本人などに関わるときに注意してほしいこと

 任意後見契約を締結すると、東京法務局において登記されます。そのため、本人と任意後見人を受任する予定の方は、登記事項証明書にお名前が記載されます。任意後見利用を開始するために任意後見監督人を選任すると監督人の名前も記載されます。そのため、登記事項証明書をみることで監督人の有無を確認し、任意後見が開始しているかどうかを判断することができます。
 本人の支援をされる医療、介護関係の方が任意後見人として接しているけれど、まだ任意後見が開始していないということもまま見受けられます。もし、関わっている方の中で監督人の記載がない登記事項証明書をご覧になることがあったら、一度任意後見を正式にスタートする必要がある状態にあるのではないかと考えてみましょう。

任意後見監督人選任の申立ても司法書士にお任せください

 任意後見を開始するための監督人選任申立ても司法書士が対応可能です。いつ開始するのかという基本的な点についても意外と誤解の多いのが任意後見制度です。判断に迷ってしまうときがあれば、お気軽にご相談ください。