本人による成年後見開始申立て書類作成の委任

 こんばんは、司法書士の山崎秀です。先日の成年後見開始時における法律行為の問題点について簡単にまとめていました。今日は、せっかくですから成年被後見人となる予定の方の手続き行為能力について記述してみます。

 成年被後見人となる予定の本人が成年後見開始申立てを行うことができるのか?成年被後見人となる予定の方ですから、法律行為は原則ご本人一人で行うことは難しいのではないかと思われるはずです。原則論で考えると、その理解で間違いありません。

 しかし、民法7条において本人から後見開始の審判を請求することができるとあります。そして、家事事件手続法においても次の定めがあります。

 成年後見開始についての審判事件においては、成年被後見人となるべき者は、第十七条第一項において準用する民事訴訟法第三十一条の規定にかかわらず、法定代理人によらずに、自ら手続行為をすることができる。その者が被保佐人又は被補助人(手続行為をすることにつきその補助人の同意を得ることを要するものに限る。)であって、保佐人若しくは保佐監督人又は補助人若しくは補助監督人の同意がない場合も、同様とする。

 家庭裁判所も本人からの申立てであっても審理を行ってくれます。当然ながら、本人にまったく成年後見開始の意思が見受けられなければ棄却されるでしょうが、本人なりの意思表示により成年後見開始を望むことがわかれば審理をすすめてくれます。ここは、申立てに関わる関係者が本人の意向を丁寧に確認しなければなりません。

 私も、時に本人からのご依頼により成年後見開始申立て書類作成を受任することがありますし、必要なときもあると考えております。

 なお、本人以外の親族により成年後見開始の申立てがされたときは、本人の同意がなくても成年後見を開始することができます。ただし、本人の行為能力が制限されるのですから可能な限りの説明は必要だと家庭裁判所も考えています。この点は、よく注意してください。ちなみに、保佐、補助は必ず本人の同意が必要なことと比較しておさえておくとわかりやすいです。

 家族関係が疎遠になりがちな現代では、本人申し立てが時折見受けられます。申立てに親族の協力が得られないことは珍しくありません。そのような事情を反映した実情なのかもしれません。

 本人及び親族すべての方による申し立てが難しいときに、市長申し立てという方法があります。件数自体は、かなり増えているものの手続きに時間がかかっているのが現状です。一度、行政の方に親族の意向確認にかなり時間がかかると聞いたことがあります。また、市長申立てをどこまで積極的に行うかは各行政により姿勢が大きく異なることも特徴です。